まだまだ伸びが期待できる情報サービスは「SNS」
~携帯電話がお買物サービスの利用機器として台頭~
博報堂生活総合研究所 上席研究員
吉川 昌孝
今月号のテーマは「情報サービス」のこれからです。ブログを中心に生活者自らが本格的に情報発信するようになりました。そのような時代のなかで伸びていく情報サービスは何なのでしょう。また、その時の利用機器はPCなのか、携帯電話なのか・・・。「コミュニケーション」「お買物」「コンテンツ配信」の3つのサービスジャンル別に2006年から2008年の生活者の情報サービス利用の変化を分析することから、今後の情報生活の姿を考えていきたいと思います。
コミュニケーションサービスは「ホームページ」「ブログ」から「SNS」へ
比較的歴史の新しい「SNS」が利用率、利用意向率ともに5ポイント以上上昇した(利用率/2006年:8.7%→2008年:16.8%、利用意向率/2006年:15.4%→2008年:20.8%)。いまの利用者拡大と同時に、将来の利用者である利用意向者も大きく拡大したのは調査対象の10個の情報サービス中唯一だ。生活者情報を発信するその他の2つのサービスを見ても、「ブログ」が利用率で9.2%から10.1%へ若干伸びたものの、利用意向では18.7%から16.4%へと漸減。「ホームページ」も利用率が9.6%から8.4%へ、利用意向率が20.7%から15.6%へと2つの指標とも下降した。「TV電話」も利用率で5.2%から7.0%へと若干の伸びが見られたが、利用意向率は23.6%から19.2%へと下降した(グラフ1・グラフ2)。
そうしたなか、「SNS」は利用率と利用意向率がともに伸びたということに加えて、その数値の大きさでも4サービス中トップとなり、今後このジャンルをリードする存在になったと言えるのではないだろうか。


お買物サービスは「オンラインショッピング」が勢力を伸ばす
このジャンルで利用率、利用意向率の2つをともに伸ばしたのは「オンラインショッピング」のみだった。利用率は2006年の28.2%から2008年の32.6%となり、利用意向率は47.6%から50.5%へとなり過半数を超えた。
その他のサービスは、「オークション」が利用率、利用意向率ともにほぼ横ばい(利用率/17.8%→19.8%、利用意向率/34.3%→35.9%)、「オンライントレード」が下降傾向(利用率/6.4%→6.2%、利用意向率/20.5%→16.9%)と目立った動きを見せられず、「オンラインショッピング」のこのジャンルでの勢力拡大がさらに進んだと言える(グラフ3・グラフ4)。


コンテンツ配信は音声、静止画、動画が三つ巴の戦い
このジャンルは全サービスの利用率が伸びており、コンテンツ配信というサービス自体が生活者の間で定着しつつある様子が伺える結果となった。最も利用率が伸びたのが「番組や動画の配信サービス」で、2006年の11.9%から2008年の17.4%へと5ポイント以上伸びた。次が「音楽配信サービス」で16.8%から19.5%へと上昇。「画像(待ち受けなど)配信サービス」は3サービス中一番高い利用率だが、20.1%から21.6%へと伸びは若干にとどまった(グラフ5)。

一方、利用意向率はどのサービスも伸び悩み気味で、一番高い「音楽配信サービス」で2006年の37.8%から2008年の38.4%へ、「画像(待ち受けなど)配信サービス」は30.7%から31.6%へと1ポイントも伸びていない。「番組や動画の配信サービス」は、利用率は5.5ポイントと大きく伸びたのだが、利用意向率は34.1%から33.9%へとわずかではあるが減少してしまった(グラフ6)。新たな利用者を取り込むためにも、このジャンルでは利用意向率を刺激するような展開が各々のコンテンツ配信サービスに求められているのかもしれない。

携帯電話がお買物サービスの利用機器として徐々に台頭
お買物サービスとコンテンツ配信サービスの2ジャンルで、各サービスの利用機器の変化を見た(表)。
お買物サービスでは、3サービスすべてが現状ではPC利用がメイン。しかしながら、その利用率自体はすべて若干の下降傾向となった。一方で携帯電話利用はまだまだ数値は小さいものの、この2年で確実に伸びている。このジャンルで携帯電話が徐々に台頭していることは、機能としてもお財布化する携帯電話の動きに呼応する象徴的な動きであると考えられるだろう。
コンテンツ配信サービスでは、「番組や動画の配信サービス」はPC利用がメインだが、「音楽配信」と「画像(待ち受けなど)配信サービス」は携帯電話の利用も目立っており、そのサービスを代表する利用機器が決まっていない状況。機器別利用率の変化も、「番組や動画の配信サービス」ではPC利用が2.0ポイント伸びて携帯電話利用が横ばい、「音楽配信」では携帯電話利用が3.8ポイント減少してPC利用が3.6ポイント上昇、「画像(待ち受けなど)配信サービス」では携帯電話利用が7.8ポイント上昇してPC利用が4.8ポイント減少と各様である。
このジャンルでは、利用者拡大の部分で静止画、音声、動画の各サービスが三つ巴の戦いを繰り広げているのと同様、利用機器でもPCと携帯電話がしのぎを削っており、しばらくはこの状況が続きそうな気配である。利用意向を高める各サービスの刺激策にうまく対応した機器を、生活者が選択していくことになりそうだ。

(掲載 : JRガゼット・2009年8月号・株式会社交通新聞社)
調査概要
「生活定点」
調査目的 : 2年ごとに同じ質問を、繰り返し同一条件の層の対象者に尋ね、人々の生活動向の変化を量的にとらえる。
調査地域 : 首都40㎞圏(東京・埼玉・千葉・神奈川・茨城)、阪神30㎞圏(大阪・京都・兵庫・奈良)
調査対象 : 20~69歳の男女
調査方法 : 訪問留置法
調査時期 : 隔年5月(2008年度:5月14日~6月2日)
サンプル数 : 1992年:1,976名、1994~2002年:2,000名、2004年:3,105名、2006年:3,293名、2008年:3,371名 (有効回収)
男女それぞれ5歳刻みを1グループとして、最も少ないグループでも有効回収数が125人となるように、2005年国勢調査結果に基づきサンプルの割付を行った。
サンプリング : 該当エリアの町丁目別世帯累積表より、1地点10人前後とした時の地点を等間隔で抽出し、該当地点で対象者を設定した。
コミュニケーションサービスは「ホームページ」「ブログ」から「SNS」へ
比較的歴史の新しい「SNS」が利用率、利用意向率ともに5ポイント以上上昇した(利用率/2006年:8.7%→2008年:16.8%、利用意向率/2006年:15.4%→2008年:20.8%)。いまの利用者拡大と同時に、将来の利用者である利用意向者も大きく拡大したのは調査対象の10個の情報サービス中唯一だ。生活者情報を発信するその他の2つのサービスを見ても、「ブログ」が利用率で9.2%から10.1%へ若干伸びたものの、利用意向では18.7%から16.4%へと漸減。「ホームページ」も利用率が9.6%から8.4%へ、利用意向率が20.7%から15.6%へと2つの指標とも下降した。「TV電話」も利用率で5.2%から7.0%へと若干の伸びが見られたが、利用意向率は23.6%から19.2%へと下降した(グラフ1・グラフ2)。
そうしたなか、「SNS」は利用率と利用意向率がともに伸びたということに加えて、その数値の大きさでも4サービス中トップとなり、今後このジャンルをリードする存在になったと言えるのではないだろうか。
お買物サービスは「オンラインショッピング」が勢力を伸ばす
このジャンルで利用率、利用意向率の2つをともに伸ばしたのは「オンラインショッピング」のみだった。利用率は2006年の28.2%から2008年の32.6%となり、利用意向率は47.6%から50.5%へとなり過半数を超えた。
その他のサービスは、「オークション」が利用率、利用意向率ともにほぼ横ばい(利用率/17.8%→19.8%、利用意向率/34.3%→35.9%)、「オンライントレード」が下降傾向(利用率/6.4%→6.2%、利用意向率/20.5%→16.9%)と目立った動きを見せられず、「オンラインショッピング」のこのジャンルでの勢力拡大がさらに進んだと言える(グラフ3・グラフ4)。
コンテンツ配信は音声、静止画、動画が三つ巴の戦い
このジャンルは全サービスの利用率が伸びており、コンテンツ配信というサービス自体が生活者の間で定着しつつある様子が伺える結果となった。最も利用率が伸びたのが「番組や動画の配信サービス」で、2006年の11.9%から2008年の17.4%へと5ポイント以上伸びた。次が「音楽配信サービス」で16.8%から19.5%へと上昇。「画像(待ち受けなど)配信サービス」は3サービス中一番高い利用率だが、20.1%から21.6%へと伸びは若干にとどまった(グラフ5)。
一方、利用意向率はどのサービスも伸び悩み気味で、一番高い「音楽配信サービス」で2006年の37.8%から2008年の38.4%へ、「画像(待ち受けなど)配信サービス」は30.7%から31.6%へと1ポイントも伸びていない。「番組や動画の配信サービス」は、利用率は5.5ポイントと大きく伸びたのだが、利用意向率は34.1%から33.9%へとわずかではあるが減少してしまった(グラフ6)。新たな利用者を取り込むためにも、このジャンルでは利用意向率を刺激するような展開が各々のコンテンツ配信サービスに求められているのかもしれない。
携帯電話がお買物サービスの利用機器として徐々に台頭
お買物サービスとコンテンツ配信サービスの2ジャンルで、各サービスの利用機器の変化を見た(表)。
お買物サービスでは、3サービスすべてが現状ではPC利用がメイン。しかしながら、その利用率自体はすべて若干の下降傾向となった。一方で携帯電話利用はまだまだ数値は小さいものの、この2年で確実に伸びている。このジャンルで携帯電話が徐々に台頭していることは、機能としてもお財布化する携帯電話の動きに呼応する象徴的な動きであると考えられるだろう。
コンテンツ配信サービスでは、「番組や動画の配信サービス」はPC利用がメインだが、「音楽配信」と「画像(待ち受けなど)配信サービス」は携帯電話の利用も目立っており、そのサービスを代表する利用機器が決まっていない状況。機器別利用率の変化も、「番組や動画の配信サービス」ではPC利用が2.0ポイント伸びて携帯電話利用が横ばい、「音楽配信」では携帯電話利用が3.8ポイント減少してPC利用が3.6ポイント上昇、「画像(待ち受けなど)配信サービス」では携帯電話利用が7.8ポイント上昇してPC利用が4.8ポイント減少と各様である。
このジャンルでは、利用者拡大の部分で静止画、音声、動画の各サービスが三つ巴の戦いを繰り広げているのと同様、利用機器でもPCと携帯電話がしのぎを削っており、しばらくはこの状況が続きそうな気配である。利用意向を高める各サービスの刺激策にうまく対応した機器を、生活者が選択していくことになりそうだ。
(掲載 : JRガゼット・2009年8月号・株式会社交通新聞社)
調査概要
「生活定点」
調査目的 : 2年ごとに同じ質問を、繰り返し同一条件の層の対象者に尋ね、人々の生活動向の変化を量的にとらえる。
調査地域 : 首都40㎞圏(東京・埼玉・千葉・神奈川・茨城)、阪神30㎞圏(大阪・京都・兵庫・奈良)
調査対象 : 20~69歳の男女
調査方法 : 訪問留置法
調査時期 : 隔年5月(2008年度:5月14日~6月2日)
サンプル数 : 1992年:1,976名、1994~2002年:2,000名、2004年:3,105名、2006年:3,293名、2008年:3,371名 (有効回収)
男女それぞれ5歳刻みを1グループとして、最も少ないグループでも有効回収数が125人となるように、2005年国勢調査結果に基づきサンプルの割付を行った。
サンプリング : 該当エリアの町丁目別世帯累積表より、1地点10人前後とした時の地点を等間隔で抽出し、該当地点で対象者を設定した。