上席研究員
山本貴代
【晩嬢】とは、晩婚・晩産の30代以上の女性たちを指す。独身女性と結婚はしていても出産はまだという30〜45歳の女性を合わせると、全国に580万人ほどいる(国勢調査より算出)。「きっともっとずっと」、「大丈夫、大丈夫」が合言葉で、自分に対する欲望は旺盛、多岐に渡る。 参考文献:「晩嬢という生き方」(プレジデント社)
20代〜40代前半までの「女の欲望ラボ」(※1)の会員113人に「社会貢献」について尋ねてみたところ、多くの女性たちから、世の中に対して積極的に働きかけている生声が届きました。特に積極的なのは、30代以上の晩嬢たち。彼女たちは、私生活の延長線上で、自然体に世直しをしています。買物欲、旅欲と並んだ世直し欲ともいえる欲望を、アンケートとインタビューから解剖するとともに、ラボ会員と共に、"世直し欲に晩嬢が走るわけ"について考えてみました。
| 調査実施 | 2008年11月、12月 |
|---|---|
| 調査方法 | Eメール文通法(※2)/個別インタビュー |
| 調査対象 | 女の欲望ラボ会員113人、インタビューはラボ会員4名、有識者1名 |
(※1)女の欲望ラボについて
東京で働く20代〜若干40過ぎまでの113人の働く女性で構成されている。会員の勤める会社の業種数は、50以上にのぼる。2004年の春に結成され、活動は今年で早5年目。活動内容は、会を運営する山本個人とのEメールによるアンケートと、SNSでの横つながりのおしゃべり、そして年に何回かのオフ会や集合調査である。
(※2)Eメール文通法
山本が独自に開発したアンケート手法で、Eメールで直接やり取りをする。回答に対して興味や疑問があった場合、いつまででもアンケートは続いていくという、かなり直接的なやり取り式アンケート法。そこで、会員の悩みを聞いたり、それに答えたりということも。

社会貢献というと、誰がどんな活動を?と思い浮かべるでしょう。私は、このレポートを書くまでは、社会に出てから取り組むボランティアは、子育てを終えてひと段落した50代後半から60代の女性が中心に行うものだと思っていました。しかし、その思い込みは見事に崩されました。
20代〜40代前半までの女の欲望ラボの会員に「世のため人のため地球のために何かしていることがありますか。あなたの回りはどうですか」と聞いてみたところ、意外にも、多くの会員とその友達が社会に対して様々な活動を行っていたのです。特に積極的なのは、30代以上の晩嬢たち。彼女たちは、自分欲で一杯で、世の中のことなんて考えていないのでは、などと思ったら大間違い。私といえば、忙しさにかまけて、一体何をしていたのだろうと、自己を反省したぐらいです。振り返ってみたら、最近始めたペットボトルのキャップ集めくらいではありませんか(キャップ800個で子供ひとり分のポリオワクチンになるとか)。興味深いのは、彼女たちにとって世直し行動は、どうやら自分事とオーバーラップしていること。旅欲や仕事欲と同じように、私生活の延長線上に、世直し欲があるようなのです。

では、彼女たちは、いったいどんな社会貢献をしているのでしょう。たくさんあつまった、世直し欲を分類していくと、次の7欲に分けることができました。まずは、ご覧ください。
【世直し欲1】汗水肉体欲
自ら現場へ出向いて労働奉仕するタイプ。実感、体感が欲しい。被災地で肉体労働をしたり、定期的に施設訪問をしたり。国内に留まらず、そのエネルギーは、海外へも飛んでいく。
【世直し欲2】能力・余力提供欲
自分の持っている技術や能力、経験で世の中に奉仕するタイプ。例えば、留学生に無償で語学を教えたり、生活保護を受けている子供に勉強を教えたり。能力だけでなく、余っている部屋を留学生や国境なき医師団に貸す人、はたまた献血やドナーで臓器提供する人も。
【世直し欲3】あしなが姉さん欲
フォスターペアレントになって、異国の子供たちの「あしながおじさん」的存在になるタイプ。単に寄付だけではなく、手紙や写真を通して交流を図る。想いが募ると、現地に会いに行ってしまう人もいるとか。これは、晩嬢に多い!
【世直し欲4】エコ生活欲
エコバックを持つ、資源節約、ゴミ分別、自家発電など、多くは当たり前かもしれないが、日常のことを自覚して行っている様子。また、キャンペーン参加でペットボトルのキャップ集めをする晩嬢は多い。毎日の生活の中で、今すぐ自分も参加できる。例えば、キャップ800個で子供1人分のポリオワクチン(約20円)がまかなえると聞けば、いいことをしている気分になれるが、よく考えると途方もない数。小さなことなのですが……、と最初に断り書きする人が多いのが特徴。そして廃品ならぬ廃服回収。貧しい国へ要らなくなった服を送る人も多い。もったいないスピリット炸裂。日ごろバンバン買う罪滅ぼしかもしれない。
【世直し欲5】ドネーション欲
財布の小銭を全部街頭募金したり、定期的に給料天引きにしていたり、ボーナス時にポーンと財団に寄付したり。とにかく、ドネーションしている。不況にあっても、可処分所得は高く、ある程度豊かなことは前提ではあるが、ガッポガッポ稼いでいるからではない。心が豊かなことは確かである。
【世直し欲6】社会貢献型消費欲
同じものを買うなら、あえてフェアトレード商品を買ったり、一部が寄付になる服やサービスを買うという人もいる。1万円のシャツを買って、そのうち2000円が貧しい人を救うと聞けば、そう高い買い物でもないかも、と思えたのは私だけではないだろう。
【世直し欲7】動物保護欲
人間ではなく動物を守りたい欲もある。晩嬢はペット好き。大切なパートナーである。絶滅の危機に瀕していたり、捨てられているのは見過ごせないのかもしれない。
※各世直し欲のボイスは「ボイス編1 世直し欲7」をご参照ください。
晩嬢の世直しは、自然体。特に、子供たちへの関心が強い。
晩嬢の世直し欲7欲をご覧いただきましたが、ふむふむと思い当たる方いらしたでしょうか。あなたのまわりにいる晩嬢方はいかがでしょう。ボイスと照らし合わせてみると、よりよく彼女たちの世直し行動が実感できるかと思います。傾向としては、自ら働きかける能動的な社会の安心づくりと、相手から働きかけられてそれを受けるといった受動的な社会の安心づくりの二つに分かれるようです。中でも注目したいのは、能動的な世直し欲です。活動的な晩嬢たちは、海を渡って世直し活動に向かったり、もちろん国内でも活発に社会貢献をしています。しかしどちらにしても、「さあ、世の中をよくしよう」という意気込みはなく、毎日の生活の中で、無理なく、自然体で行っているように受け取れるのが特徴です。また、高齢者へというより、恵まれない子供たちに対しての働きかけが多く印象に残りました。113人のラボ会員たちの中での比較ですが、独身だったり、結婚していてもまだ子供がいない30代以上の働く晩嬢に積極性がみられました。これは、どうしてでしょうか。次はそこにフォーカスをあてて、考えてみたいと思います。
晩嬢たちが、社会を安心させる行動に動く理由はなぜ?ということで、ひとりでうねうね考えていても信憑性はありませんので、「女の欲望ラボ」の会員たちと、一緒に考えてみることにしました。現代社会は、世直しがしやすい状況下にあるということもいえるでしょう。たとえば、教育の進化。キリスト教の学校に通っていなくたって、授業の一環として奉仕の精神を学ぶことは当たり前となってきました。海外留学も特別なことではなく、ボランティアが当たり前の国アメリカなどで生活して、衝撃を受けたという人も少なくありません(「ボイス編2 学生時代の影響」を参照)。また、今は、情報化の進展で地球の裏側の国の様子も手に取るようにわかるようになりました。パソコン上で、ボランティアや寄付を募る団体を気軽にサーチし、仕事の息抜きにワンクリックで募金することもできます。そんな中、どうして晩嬢を中心とした女性たちが世直しに熱心なのでしょうか。みんなと考えた理由は、大きくは以下の3つにまとめられました。
1. 30歳あたりになってくると精神的にも金銭的にも余裕が出てきて、次の満足に向かうのではないか。価値観の変化が生まれる。
時代も経済も混迷する現在ではあるが、不況にあっても、相対的に見れば、働く晩嬢は、金銭的にはやや余裕のある人たち。例えば、お給料が300万円のサラリーマンとパラサイトOLを比べてみたらどうだろう。家族を養うサラリーマンではお小遣いもすずめの涙かもしれないが、パラサイトOLは300万円全てを自分のために使えるのだ。あまり預貯金はしていないようだから、可処分所得はかなり高いといえるだろう。また子供がいないWインカムなら、夫の顔色を伺うこともなく、自由な消費が楽しめる。20代のときより30代に余裕がでてくるのは当然。金銭面だけではなく、様々な経験を経て、精神的にも余裕が生まれる。そんな中、20代でさんざんしていた自分にだけ向けた消費に疑問を抱きはじめ、還元意識で世直しを始めるようでもある。
ラボ会員の声
私にとってなんだか考えさせられてしまいました。で、その結果「余剰資金を有効活用できて、最も自己満足できるから」かなぁと。物質的に満たされているし、大きな買い物をなんでもない日に気負わずできるようになってからボランティアへの関心が高まった気がします。といってもすごい貯金があるわけでもなんでもないのですが(笑)(29歳・フリーライター)
女の欲望ラボ世代だからだと思います。年齢を重ねて、人の痛みが分かり、人の親切や温かさを身をもって知ることが出来る年齢になったからこそ何か人様のために自分が出来るのではないかという情熱が芽生えて行動を起こさせるのでは?(36歳・コンテンツ制作会社)
たぶん、自分のためだけに時間とお金をたっぷり使っていることに対する免罪符?なのではないかな、と思います。今の女性は男性と同じように稼ぎ、しかし、晩婚晩産の人が多いため、自分の母親の若い頃とは比べ物にならないくらい、時間もお金もあると思います。だから、せっせと自分磨きに精を出すわけなのですが、それはそれでちょっと後ろめたい気がしたり、自分は世の中から必要とされる人間なのか?なんて弱気になってしまうこともしばしば。そんな時、自分以外のコト・モノにお金と時間をかけると、そういう気持ちが一瞬消えて、自分の存在意義みたいなものを感じることができたりするのではないでしょうか?私も、実際にやったことはないですが、たまに寄付とか猛烈にしたくなります、特に、大金を使った後などは……。(33歳・医薬品メーカー)
インターネットや、媒体の普及で、国内外の悲惨な状況が手に取るように情報入手できるようになったこと。悲惨な状況が見えているのに、時間やお金を自分のためだけに、使う事への疑問が沸くようになったこと。あと、キャリアを極める・お金を儲けるって事「のみ」に、あんまり価値を見出せなくなったこと。自分のステータスや所有物で他人と比較する人が少なくなってきた。比較しても仕方ないと気づいた!?逆に、大体の欲しいものは手に入る世の中になって、自分自身の心の豊かさの方が重要だと思えてきたこと。(29歳・リサーチャー)
2. 家族欲求と、母性の放出先を求めているのではないか。
一概には言えませんが、20代後半など若い方がカラダを使った世直し欲が強く、フォスターペアレントなど子供とつながりたい欲が強いのは30代以上の晩嬢に目立ちました。本来なら、結婚して子供に愛情を注いでいるはずですが、そうでない場合、行き場の無い母性は、恵まれない子供たちなどに向かっていくのではないか、という意見が多くでました。なるほど。一定の年齢になると、女性の心の中には母性が溢れ、母性はその行き場を探し始めるのでしょうか。ちなみに、今はやっていないけれど、今後やってみたい世直しを聞いたところ、「養子をとりたい」「フォスターペアレントになりたい」という願いがとても多いのでした。家族欲求というものもあるでしょう。人間関係が希薄になりがちな今だからこそ、あえて自発的に人と関わる場を持つことで、自分の存在を確認したいのかもしれませんね。
ラボ会員の声
人のために何かしてあげたいという気持ちを消化させている。核家族になったり、近所と関わりが薄くなったり、未婚で子供は産む予定なしというひとが増えて、本来ならば、まずは身近なひとのためになりたいと思っている気持ちの消化口。(29歳・製薬)
同じ歳(39歳)で、フォスターペアレンツで寄付されている友達がいるのですが彼女の話からすると、もう子供は持てないと感じているらしく子供が持てないなら、世界の恵まれない子供に……と、始めたようです。(39歳・旅行代理店)
30代女子ともなれば、子供がいてもおかしくない年齢です。でも、独身OLには、子供がいないので、本来なら子供に向けるべき気持ちのいくばくかをこういったことに向けているのかも知れないですね。(33歳・法律)
私個人のことを言えば、現在何かしているわけではないけど、興味があることとして、たしか「世界の子供たちに」とか「お年寄りに」とか書いたように思うのですが、それは『家族欲求』ではないかと思います。家庭を持って忙しくしている人に比べて、身軽な自分。子供がいない分、世界の子供たちのことが気になる、とか。離れて暮らす両親に、ふとした時に感謝の念がぐーーーと高まり、よって、お年寄りを大切に思ったり。一人身は身軽で気軽で、「自分バンザイ!」だけど、やっぱり一方で、誰かのために何かをしてみたい欲求が出るんだと思います。(33歳・化学工業)
みなさんがボランティアに積極的なのは、「自分に余裕がある」からだと思います。余裕は金銭的にも精神的にもです。人って"誰かの為に役に立ちたい、人に必要とされていたい"という気持ちを少なからず持っていますよね。子供とか家族とか身近な対象者がいれば関心はそちらになりますが、いない場合で、さらに自分に余裕があれば外に求めるのかなって思います。(37歳・美容)
私の場合、三十路半ばを過ぎて独身。同世代の多くは、もう子供を授かり、子供にかけている愛情(母性)を私はその愛情を掛ける対象がいないため、代替で他のものに掛けてます。例えば観葉植物、ベランダ菜園……。有り余る母性で、何かを育て、何かに愛情を掛けたい、と地球環境に目をむけ、ボランティアに目をむけ、ではないでしょうか。子育てにひと段落した「エンプティネスト」の年配の方が、自分の巣から子供が巣立ってしまってポッカリあいた心を満たすために、何かを育てたいと盆栽を慈しむ、と聞きますが、とても気持ちがわかります。それに、自分の子供が居れば、子供そのものが自分の生きた証(功績)を残したと思えるのですが、子供が居ない場合、ボランティアなどで自分の功績を残したいのかなぁ。(35歳・派遣)
30歳を過ぎてから、客観的に視野を広く見ることができたときに自分以外の人にも、役立ちたいと思うときがくるのではないかと思いました。独身や、結婚しても子供がいない人が多いのは、子育てという時間がないぶん愛情を注ぐ対象をボランティアに置き換えているのでしょうか。(36歳・コンテンツ制作会社)
家族をもっている人が、家族のために仕事をがんばるのと同じように、自分の存在が地域や世界に少しでも貢献しているという充足感。お買い物のための海外旅行やお稽古事こそ、子育てが終わった50代〜60代にやればいいと思ってしまう。(29歳・リサーチャー)
3. ボランティアで自己啓発しているのでは。
晩嬢たちは、自分の持つ能力や意識を、世直しをすることによって高めているのではないか。また、ボランティアによって自分の存在を確認しているのではないか、という意見が目立ちました。もちろん主目的ではないでしょうが、なかなか興味深い意見です。彼女たちは、習い事や資格をとったりなど、自分磨きに長けています。それと同じではないにしろ、己を高めるという点では共通している部分があるようにも感じます。意識して自己啓発している姿は、人生に余裕がでてからする50代〜60代のそれとはかなり意識が違うよう思えます。
ラボ会員の声
ボランティア活動についてですが、私が始めたキッカケは高校(アメリカ)で年30時間のボランティア活動が義務付けられていたからです(自発的行動ではないのであまり参考にならないかもしれません)。そこで、一人ひとりの力は微力でも、それが多数集まれば大きな力になることを実感して、大学以降も継続するに至ったということもあります。(29歳・商社)
不自由ない世の中に産まれて、モノにもあふれ、自分勝手にわがままに過ごしていることに、自分の中でもこれではいけないなーと感じることがあり、ボランティアをして自分の中で、私は自分勝手ではなく、世の中のために行動しているという満足感、安心感を求めているため。(29歳・製薬)
自分の存在価値を社会貢献で確認したいから?(意外とみんなさみしがりや)
(37歳・リース会社)
社会的観点からいえば、ひとつの自分自身の精神的ゆとりを保つための方法、見栄や欲望で渦巻いた時代ではなく、自分らしく生きるため、まわりの人とのつながりを求めたりボランティアをすることで自分のアイデンティティを確かめる、なんてこともあるのではないでしょうか。エコ、ロハス、ボランティア、、、なんてなんとなくファッション性もあいまっているのかもしれないですね。(29歳・製造小売)
ボランティアは、日常に織り込まれていて、すべての人の生活に、どんなタイミングでも存在すべきだと知ったのは、アメリカに住んでいた時でした。小学生だったら、自分のテストの点数に数セントを近所の人にかけてもらい、100点とったら100%、50点だったら50%の寄付をもらいます。自分のがんばりによって、収入は変動するという経済観念の習得になるし、ボランティアという概念が幼少の頃より、身近になるのです。高校を卒業したばかりの私には、衝撃でした。
我が家は、自然保護活動などに休日をあてる変わった家庭でしたが、ここまで日常生活そのものにボランティアが入り込んでいるとは驚きでした。でも、よく考えてみれば、当たり前ですよね。ボランティアができると言う事は、自分が与える、手助けする側にたてるという幸せな環境に居るわけです。日本には「ただ働き」というような概念とボランティアがリンクしていた、情けない時代が長かったですが、上記の小学生の例のように、ボランティアをすることによって、自分自身も人間性や知識、体験を向上できるわけです。生涯学習や、自己啓発がさかんな今、日本人も(特にエルラボ会員のような、向上心の強い人々は)ボランティアの位置づけを自分の中で「ただ働き」から「自己啓発」へと、位置づけを変えつつあるのが理由ではないでしょうか?(35歳・化学品商社)
皆さんが積極的に、意欲的にボランティア活動に取り組むのは、単に物理的にお金と時間に余裕があるだけではなく、「精神的に余裕がある自分」を強く感じたい気持ちが強いことも一理あるのではないかな、と私は思います。自分が目の前の仕事と生活のことでいっぱいいっぱいである、状態を自覚して生活していくことは、あまり楽しいことではないと思います。仕事で周りの期待に答えようと日々頑張る女性が増え、その分、やはり「キビシー、疲れた」感も溢れ、それを消化するのが今まで同様の「美味しいものを食べる・エステで癒される・欲しいものを買いまくる...etc.」で自分に還元するだけじゃ足りなくて、自分以外の誰かのためにも動きたい欲望にエネルギーが向くようになったのではないかな?と思います。(30歳・特許事務所)
私がボランティア活動をしているのは活動を通じて気づかされることが多いからだと思います。生活や仕事など自分が当たり前と思っていた日常が当たり前ではないということ。今悩んでる自分の悩みはそんな大したことではないこと。成長してしまって忘れてしまったいろいろなこと。気づかされることで、逆に自分が元気になったり勇気がでたり頑張れたりするような気がします。あとは感謝されることで、自分の存在が肯定されるような気もします。と、書きおわったところで気づきました。これってきっと自分の子供がいたら、日々の生活で自分の子供を通じて感じられることだけど、子供がいないから他人から教えてもらっているのかもしれませんね。(34歳・コンピュータ)
3つの「世直しへ向かう理由」を、まとめて見ましたが、そこには微妙に入らないけれど、ふむふむと思える意見がいくつかあったので、最後に披露したいと思います。ひとつは、精神世界ブームと、もうひとつは、セレブの世直しブームです。
精神世界ブームだから。
私が、フォスターペアレントをはじめたきっかけは、美輪明宏さんの著書を読んだのがきっかけでした。世の中には正負の法則というのがあって、人は何かを得たら、必ず何かを失う。だから、前もって「負」を自ら持つ勇気を持ちなさい、というようなことが書かれていました。
(中略)私はお金持ちでもなく、しがない薄給のOLですが、私が無事に仕事を出来ることに感謝しつつ、世の中に少しでもお役に立てれば、と思い、フォスターペアレントに毎月少額ですが、寄付をしています。あとは、大きな地震や災害の度に、日本赤十字社の行う募金も少額ながら寄付しています。たくさんは、出来ないけれど、少額を回数多く、無理のない範囲でやっています。
何故、寄付をするのかというのは、一つは自分の「負」を前払いするためなのかも知れません。
(33歳・法律)
私の場合幸いにも、贅沢をしなければ金銭的に余裕があるお給料を頂いてます。一方で、生まれながらにして恵まれない環境で過ごさなければいけない人が沢山いるのも事実。自分の懐が痛まない程度で、人のためになるようなお金の使い方ができればいいな、と思いました。はまっているスピリチュアルの影響が大きいかも。(40歳・化学工業)
セレブ的な行動のひとつなのでは。
全世界的に、「セレブ=社会貢献をするのが当たり前」のような風潮になっており、「社会貢献をする=自分もセレブになったような錯覚をしている」という方もいらっしゃると思います。
(辛口ですみません。。。)(37歳・リース会社)
ブランジェリーナ(ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー夫妻)たちや、宮崎あおいみたいに、時代の流れが、自分自身のファッションとかだけに夢中になっている人より、より広い目で世界を眺められる人に注目が集まるようになった事。(29歳・リサーチャー)
晩嬢の世直し欲の種類と、世直しに向かう理由を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。精神の安定であろうと、欲望のひとつであろうと、なにもせずに愚痴だけ述べている人々より、前向きに世直しをする姿はとても美しく、すばらしい事だと私には思えます。ブームに終わらず、晩嬢たちをみて若い人がついてきてくれるといいのですけれど。ずっとブームだったらいいですね。
以前、女の欲望ラボの会員に「もしも一国の女王だったら、どんなことをしてみたいですか。どんなワガママでも結構です。あなたの女王っぷりをお聞かせください」という質問をしたときも、7つあがった欲望のひとつに「水戸黄門欲」という社会貢献欲がありました(2005年生活新聞"女の豪快消費より")。当時はまだ漠然としていましたが、今、かなり具体的にみんなが動き出している感じを受けます。
また、かつて女の欲望ラボの会員たちに、こんな質問もしたことがありました。「もしも、生まれ変わるなら、いつのどんな時代に生まれ変わりたいですか?」その質問では、
「学生運動などがあった激動の時代に生まれたかった」という意見にどきっとしたことがあります。
今の人生は、確かに平凡で凪の毎日かもしれません。経済の悪化や企業の破綻は、確かに激動かもしれませんが、心をそこに熱く向けるようなドラマチックな場面はそうないでしょう。晩嬢たちは、人生に抑揚を求めているのではないかと思うこともしばしばです。波が来なければ、自分で波をつくって、その波に乗ってみる。そんな人たちです。その波のひとつに世直し欲があるということです。
自分の能力や行動が、他人のために生かせることに生き甲斐を感じて、それが自分の活力となる。(29歳・厚労省外郭団体)
この意見にもみられるように、彼女たちは、波乱晩嬢。ここでも、自分のエネルギーとなる波を、世直し行動をすることによって、おこしているようなのでありました。
インタビュー1 42歳・独身
Q. どんな社会貢献をしていますか?
A. かつては、10年間くらい、フォスターペアレンツをしていた。3人くらい育てたかな。年間6万円くらいかかる。マンション買ったりしてちょっと財政的に余裕がなかったとき、一時中断したけど、今は、ユニセフのマンスリーサポートを始めた。カラダを使ったボランティアもしたかったけれど、なかなか単発ではないから。今は、定期的な寄付というカタチでしている。
Q. なぜ、女性が積極的にするのだと思いますか。
A. 精神的デトックスではないか。また特に女性は守りたい欲求が強いのではないか。母性本能の延長線で弱いものを守りたい意識が高いのでは。守ることに、生きがいを感じるのでは。きっと守る行為でアドレナリンが出るのが女性で、男性は競争社会に生きているから、蹴落とすことでアドレナリンが出るのではないか。笑。あと女性は占いとか神様も好き。目に見ないものが好き。救われたり、救ったりするのに弱いから、功徳を積むじゃないけれど、それをすることによって、神様の思し召しがあるというか、自分も幸せになれるのではないかとも思っているのでは。社会貢献することによって、自分が生きているっていう実感もほしいのかも。
インタビュー2 38歳・独身
Q. 被災地へボランティアにいかれて、そこには女性が多くきていたとききましたが、命に関わる社会貢献を、なぜ女性の方が行うのだと思いますか?
A. 男性は、仕事で上に行くのに必死で余裕がないのではないか。また、男性は家族や女性を守らなければならないし。その点、女性は男性より余裕があるのでは。無意識に、社会貢献することに自分の価値を見出しているように思う。
Q. ご自分のボランティア精神は、どなたの影響だと感じますか?
A. 祖父母が私に無償で与えてくれた愛を、誰かに恩として返したいという気持はあります。あとは母が、ギブの人なんです。みんなのママみたいな人。それをみて育って、困っている人を助けるのは、自分にとっては普通のことです。やっているという気持はまったくありません。
インタビュー3 32歳・既婚
Q. どんな社会貢献をしていますか?
A. 病院の患者家族が宿泊する施設で、定期的に掃除などしています。
Q. きっかけは?
A. 根底には、結婚前、雑誌のライターの仕事をしていたとき、ただえばっていて、何もできない一部の大人を見て少し冷めてしまって、直接誰かの役に立ちたいと思ったということがあります。直接のきっかけは、自分がその施設のある病院に入院したことで、施設の存在を知ったこと。その後、母が乳がんになったとき、自分が精神的に不安定になってしまい、自分のような患者の家族にだれでもいいから会いたい、同じ思いをしている人に会いたい!と思ったことがボランティアのきっかけになりました。実際は、患者さんの家族とは、個人的な話はしてはいけないのでしていませんが。
Q. 定期的だと大変ではないですか?
A. 2週間に1度土曜日、通い始めて、かれこれ6年目になりますが、子供もいないので、自由に使える時間はありますから。もうボランティアが生活の一部になっています。夫は、夕方六時に施設まで迎えにきてくれます。
Q. 今後はどんな活動をしたいですか?
A. 難病の子どもたちの夢をかなえる団体のボランティアスタッフとして働きたいと思っています。雑誌のライターの経験を生かしてかかわりたい。自分に子どもがいないから、やりたいのかもしれません。お年寄りへのボランティアより、子どもへのボランティアに興味があります。
インタビュー4 24歳・独身
Q. ボランティアを学生時代からしていると聞きましたが、どうして?
A. 病児保育をするNPOで設立時から手伝っていました。恵まれた自分に疑問を感じていました。限られた世界から抜け出してつくり出したいという思いもありました。あと自分の居場所がなかった。淋しかったし、彼氏もいない、クリアする勉強もなかった。モヤモヤしていて居場所がほしかった。正直言えば、人のためにとか、これをやりたいとか言う気持ちは自分の中からそのときはまだ沸いてはいなかったです。
Q. 晩嬢たちが世直しに走るわけはどうしてだと思いますか?
A. 居場所がやはりほしいんじゃないかと思います。自分が必要とされたがっているのではないか。私はまだ24歳の娘ですが、笑、30歳になれば、求められたいと思うかな。
Q. 募金や寄付に関して思うことは?
A. これは私が思うだけですけれど、全てがうまくいっていると怖いっていう思いがあります。何でも限りがありますから。だからずっと幸せでいるために、寄付をして還元している感じです。ものすごく欲深いですね。自分が幸せでい続けたいから、だなんて。コントロールできる範囲でいいことをしたい。この幸せの状態がそう長く続くとは思っていません。できることなら、たくさん稼いでたくさん寄付したい。余っているものをあげる感じの募金は私の中では、かっこ悪いです。
